認知症の症状

認知症の症状

 認知症の症状を紹介します。

 

 認知症の定義は「後天的な広範な脳の障害のために認知機能が障害され、そのために社会生活や日常生活に支障をきたした状態」です。つまり、誰にでも起こりえるものであり、決して加齢のためだけによるものではないということです。

 

 認知症は物忘れから始まることが多いのですが、年をとることで誰にでもおこる「老化による物忘れ」と見極めることが重要になってきます。→認知症の中核症状-記憶障害、物忘れ

 

 認知症は他の病気同様、早期発見が大切です。早期発見できれば、ある程度、認知症を予防することもできます。

認知症には中核症状と周辺症状があります

 認知症の症状は、中核症状と周辺症状(行動や精神症状)に分かれます。
 中核症状は認知症を発症すると誰にでも現れる症状のことです。
 周辺症状は中核症状によって二次的にもたらされる症状のことです。患者さんの個性や生活環境によって現れ方が異なってきます。

 

 介護の負担を減らすためにも、認知症の症状にはどのようなものがあるのかを知っておくとよいでしょう。医師に相談する際にも、どのような症状が現れているのか正しく伝えられるようになります。

 

中核症状

 中核症状とは、認知機能が低下することによって引き起こされる症状です。中核症状には次のようなものがあります。

 

周辺症状(BPSD)

 周辺症状はBPSDと呼ばれています。BPSD…Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia
 周辺症状は、本人が気づいて教えてくれる場合もありますが、家族や周りの人が気づくという場合もあります。

 

 最近では、周辺症状は「行動・心理症状」と呼ばれるようになりました。

 

【本人が教えてくれる症状】
 依存、抑うつ気分、妄想、不安、幻覚、不眠

 

徘徊

【周りの人が行動を見た時に判断する症状】
 拒食、過食、異色、徘徊、介護抵抗、攻撃的行動

 

 周辺症状の詳細=>認知症の症状-周辺症状(行動障害、問題行動)

 

 認知症では、根本治療はできません。周辺症状を抑えることが介護の負担を減らすためにも大切になってきます。現在、抑肝散などの漢方薬が周辺症状を抑えることが分かっています。

認知症の進行の仕方

 認知症は進行していく病気です。以下は進行の仕方の例です。必ずしもこのとおりの順番になるわけではありません。

  1. 認知症が発症するとまずは、「物忘れ」の症状が起こります。
  2. 理解力、判断力の低下」が起こります。
  3. 見当識障害」が起こります。ここまで進行すると認知症の中核症状がほぼ見られます。
  4. 実行機能の低下」が起こります。自分自身の行動ができなくなります。
  5. 本人の性格・素質や環境・心理状態も相まって、「周辺症状・行動障害」が起こります。身の回りのことに支障がでてきます。

認知症の症状記事一覧

認知症の中核症状-記憶障害、物忘れ

 記憶障害(物忘れ)は、認知症の中でも最も基本的な症状です。すべての認知症の人に起こる中核症状です。 認知症の記憶障害には、大きく3つの特徴があります。経験したこと全体を忘れる 出来事の全体をまるごと忘れてしまいます。 細かな点を忘れることは健康な人でも良くあることです。夕飯に何を食べたかメニューの...

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認知症の中核症状-理解力、判断力の低下

考えるスピードが遅くなる時間をかければできることも多いので、周りの人は急かさないことが大切です。一度に二つ以上のことが処理できない処理能力が低下するので、周りの人は、ひとつずつ、しっかり説明して混乱しないようにしてあげることが大切です。いつもと違うことに対応できなくなる引っ越しや入院などの環境の変化...

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認知症の中核症状-見当識障害

見当識障害とは「いつ」「どこ」「だれ」が分からなくなる障害です。時間や季節感がなくなっていく今の年月や時間、自分がいるところなど、基本的な状況が分からなくなります。約束の時間を守ったり、予定を合わせるということができなくなります。さらに症状が進むと、今日がいつなのか、どの季節なのか、自分の年もわから...

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認知症の中核症状-失語、言語障害

 認知症になると会話がだんだん不自由になってきます。これは「失語」という中核症状です。 失語は脳の中の言葉をつかさどる領域が壊れるために起こります。特徴会話を組み立てるのが難しい。他人の話す内容を理解できない。自分の考えていることをうまく言えない。日常的によく使うものの名前や、言葉が思い出せない。た...

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認知症の中核症状-失行

ずっと使っていたものの使い方がわからなくなる。衣服を後ろ前や表裏に着る。人の動作を真似ることができない。

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認知症の中核症状-失認

ものを見ても、それが何かわからない。音を聞いても、それが何の音かわからない。道に迷う。知っているはずの知人の顔がわからなくなる。鏡に映る自分を見ても、誰だかわからない。また、鏡に映った自分に話しかけたりする。(鏡現象)

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認知症の中核症状-実行機能の低下

計画を立てることができない例えば、料理ができなくなります。調理したいという気持ちがあっても、何を買ったらいいのか、どういう順序で調理したらいいのかがわからなくなります。援助があればできることも多い認知症の人は「何もかも分からなくなる」わけではありません。誰かがそばで、その都度アドバイスすれば、今まで...

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認知症の周辺症状(行動障害、問題行動)

中核症状に伴って起こる、次のような行動や心理症状を認知症の「周辺症状(BPSD)」といいます。幻覚そこにないもの、ありえないものが見えると言う。妄想財布を盗まれたなど、事実ではないことを信じこむ。物盗られ妄想は代表的な症状です。徘徊目的もなく、ふわふわと歩きまわる。→さまざまなタイプに分けられる徘徊...

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徘徊

 認知症の徘徊には理由があります。その理由によっていくつかのタイプに分けられます。道に迷っている 見当識障害のため場所がわからず、外出すると道に迷ってしまうケースです。同じ道を繰り返し歩いてしまいます。しかし、このタイプは本当の徘徊ではありません。不安に襲われている あまりなじみのない場所に置かれた...

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物盗られ妄想

 妄想は、認知症の初期から中期に現れる周辺症状の1つです。 物盗られ妄想は妄想の代表的なものです。自分の物を盗まれたと妄想し、人を泥棒呼ばわりしたりします。 アルツハイマー型認知症の4割強の人に現れるといわれています。日本では女性に多く見られますが、外国ではこのような傾向はみられません。 物盗られ妄...

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作話

 認知症の周辺症状である作話とは、実際には体験しなかった話を作り上げ、後先考えずに言いふらしたりすることです。 物忘れによって失ってしまった記憶の空白を埋めるため、勝手に話を作っていると考えられています。 作話では、自分にとって都合の良い話しを作ります。さらに、一番近くにいる介護者が標的にされる傾向...

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