認知症予防と睡眠

眠れば眠るほど老化予防に役立つわけではありません

睡眠は、眠りはじめの3時間ほどの間に優先的に熟睡し、必要量が満たされると、そのあとは比較的浅い眠りになっていきます。
たくさん、眠ろうとしても、浅い眠りが増えるばかりです。起きたときは「過充電」状態になって、頭がスッキリしなくなります。
人間には睡眠を調節するホメオスタシス(恒常性維持機構)が備わっています。
眠る直前までの睡眠の過剰や不足の情報に基づいて、その後の睡眠の必要量が自動的に決められているのです。

 

睡眠不足は脳への栄養補給を滞らせ、全身の疲労回復の妨げとなり、老化を速める一因となりますが、「眠るほど若返る」わけではありません。
「睡眠を過剰に取り過ぎる生活習慣は認知症のリスクを高めるだけ」という研究報告もあります。

認知症予防に適切な睡眠時間

若さと健やかさを保つためには、睡眠は長すぎず短すぎず、平均7時間前後が理想とされています。

 

睡眠時間には個人差があり、4時間から6時間程度で満ち足りてしまう「短眠者」もいれば、「8時間以上は熟睡しないと体調が悪い」という「長眠者」もいます。

 

人間の睡眠のパターンは約90分ごとに、深い眠りと浅い眠りを繰り返します。したがって、その倍数の時間で3時間、4.5時間、6時間、7.5時間という単位で目覚めを設定すると、スッキリとした快適感や熟睡感がもたらされます。

 

また、同じ人でも睡眠時間は状況に応じて多少の変化があります。特に年齢の影響は大きく、10代では平均8〜10時間、20代〜50代では6.5〜7.5時間、60代以上では6時間と、高齢になるほど睡眠時間が短くなってきます。季節によっても変動があり、睡眠時間は冬は長く、夏は短く、春と秋はその中間くらいといわれています。

睡眠障害の原因

睡眠障害の原因としては、

  • 精神的緊張や不安
  • 薬による副作用
  • 体の痛みやかゆみ
  • 前立腺肥大や膀胱炎などによる尿路系の刺激
  • うつ病などの精神疾患
  • 脳血管障害
  • 脳腫瘍
  • 頭部外傷

などがあります。

 

とくに、うつ病の初期には、早朝覚醒、熟睡感欠如、休息感欠如、朝の離床困難など、特徴的な不眠症状のみを訴えることが多いため注意が必要です。

 

不眠の症状が長引いてきになる時は、専門医の診察を受けましょう。うつ病が疑われる場合は、速やかにうつ病の診断と適切な治療を受ける必要があります。
うつ病の悩み解決

 

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