認知症の中核症状-記憶障害、物忘れ

記憶障害(物忘れ)

 記憶障害(物忘れ)は、認知症の中でも最も基本的な症状です。すべての認知症の人に起こる中核症状です。
 認知症の記憶障害には、大きく3つの特徴があります。

 

経験したこと全体を忘れる

 出来事の全体をまるごと忘れてしまいます。
 細かな点を忘れることは健康な人でも良くあることです。夕飯に何を食べたかメニューの詳細を忘れることはありますが、食事をしたかどうかまで忘れることはありません。
 単なる老化の場合は出来事の一部を忘れることが多くなるのですが、認知症の場合は出来事の全体を忘れてしまいます。ここが単なる老化と認知症による物忘れの違いです。

 

新しいことが覚えられない

 認知症になると、特に新しいことを覚える機能が衰えます。
 今話したことやさっき聞いたことも忘れてしまうほどのひどい物忘れ状態になります。

 

過去の記憶の中で生きる

 認知症の記憶障害では、現在のものから数年、数十年分の過去の記憶が抜けていきます。
 年齢を訪ねても、30歳とか17歳といった答えが返ってくるのは、そのためです。

 

失った記憶を埋めるように作り話をする

 物忘れによって失ってしまった記憶を埋めるため、ありもしない勝手なストーリーを作ってしまうことがあります。これを作話といいます。

物忘れと老化の違い

認知症を発症すると最初に現れるのが物忘れの症状です。
気をつけないと行けないことは、「認知症によるの物忘れ」と「老化による物忘れ」は違うということです。
認知症かと思って、本人を観察すると、実は老化現象だったということがよくあります。
物忘れの特徴を示すとともに、「認知症によるの物忘れ」と「老化による物忘れ」の違いを示します。

 

認知症による物忘れ 老化による物忘れ
体験したこと全体を忘れる 体験の一部を忘れる
物忘れが進行する 大きく進行することはない
物忘れを自覚しない 本人にも物忘れの自覚がある
理解力、判断力が低下する 理解力、判断力に問題はない
日常生活に支障をきたす 日常生活への支障はあまりない

 

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