徘徊
認知症の徘徊には理由があります。その理由によっていくつかのタイプに分けられます。
道に迷っている
見当識障害のため場所がわからず、外出すると道に迷ってしまうケースです。同じ道を繰り返し歩いてしまいます。しかし、このタイプは本当の徘徊ではありません。
不安に襲われている
あまりなじみのない場所に置かれた不安と、見当識障害により徘徊が現れるケースです。家に帰りたいけど帰れないため、不安そうに足早に歩くのが特徴です。
せん妄(意識障害)に陥っている
認知症の人がせん妄(意識障害)状態に陥ると、興奮して歩き出す過活動性が現れたり、逆にぼんやりとなり、ふわふわと夢遊病のように歩き出す低活動性が現れたりします。
せん妄による徘徊は、意識障害の原因を明らかにして、それに沿った治療やケアをすると改善します。
衝動性が高まっている
脳の器質的な障害による衝動性の高まりのために徘徊してしまうタイプです。アルツハイマー型認知症では、足早で表情は固く、人を押しのけるように歩きます。血管性認知症やピック病では、感情が高まって無我夢中で動きまわり抑えが効かない状態になることもあります。
過去の行動に基づいた徘徊
自分が最も生き生きした時代に帰りたいという願望から起こる徘徊のタイプです。男性なら「会社に行く」、女性なら「帰って食事のしたくをする」といったものです。脇目もふらずに歩き続け、遠方まで行ってしまうこともあります。夕暮れ時に多いので「夕暮れ症候群」とも呼ばれたりします。
「あなたの家はここですよ」と無理に止めるとかえって頑なになります。「自分はここにいていいんだ」と思えるような役割や安心感を与えることが大切です。
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